講座レポート【森達也さん】「A」上映会と監督トーク
〜真実それは本当に真実ですか〜

レポート
2019年2月3日(日) 00:00

2019年2月3日、浦安市美浜公民館で開催。市民として企画協力をしました。

森達也監督トークより

 

まずは「公共施設で行政が主催になり『A』の上映がされたのは、はじめて」という話がありました。オウム事件を公民館の講座で取り上げること、それ自体が問題になるということこそが<問題>ではないでしょうか。オウムNGとすれば、考えることすらできなくなってしまうのにと…そんなことを感じながら森監督の話に引き込まれていきました。

そして、上映した『A』について。

信者にモザイクをかけないこと、オウムの擁護をするつもりではないことを撮影開始時にオウム側に伝えていたそうです。モザイクは見る側にマイナスのイメージを与えるもので、日本は世界で一番モザイクをかける国なのでは?と言います。

不法逮捕の場面

映画後半部分、不法逮捕のシーンについても触れました。「学生運動で抵抗する学生を逮捕するためなどに、“転び公妨”という手法はあったが、撮影中に遭遇した<不法逮捕>は特に悪質だ」と話しました。映画には映っていませんが、現場では一般の人が「警察がんばれ」「ポアしちゃえ」など声を上げ、警察・公安を“応援”をするような雰囲気があったそうです。そのような空気の中、応援を受けるような形で権力を行使したのではないかと。カメラに撮られていることも構わずに強気になれてしまう、そんな空気を作り出したのは世間だったことを知りました。

 

 

ほかには、あえてテロップをつけない、音をクリアにしない編集をしたとのこと。「人は対面していても、100%クリアには受け取らないのではないか」と話す森監督。

100%ではない、白でも黒でもない、そんな私たちが作り出す社会、一面だけをみて判断することの怖さが伝わってくる『A』と森監督のトークでした。

 

アンケートより(一部抜粋)

「今までもっていたオウム信者のイメージがメディアによってつくられたものだとわかりました」

「テレビでインタビューを受けていた荒木さんは、若くてインタビューなれしていないせいかとげとげしい感じだったが、この映画は日常を描いていて、とても良い青年だなと思った。映画が終わらないでくれれば良いなと思いました。他の若者達もそうでした」

「社会が変わればメディアが変わるという言葉が印象に残りました」

「当時、市役所入口等に「オウム(アレフに改称)の信者の転入は受付けません」の張り紙に何の違和感も持たなかった自分のことは心に留めておこうと思いました」

「オウムの中から見た日本社会の姿・・・。思考停止にならずに、自分の視点で社会の姿を見つめる力を身に付けていきたいと思った」

会場の後ろでいっしょに観る森監督

 

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