講座レポート【安田菜津紀さん】「世界で今起きていること」
〜笑顔の向こうの現実〜

レポート
2018年1月20日(土) 00:00

2018年1月20日、浦安市堀江公民館で開催しました。

無知は誰かを傷つける

浦安堀江公民館に来ていただくのは2度目となります。

一歳のお子さま連れから、小学生とお母さん、お父さんの親子、70代まで幅広い世代の方が参加しました。

まずはご自身がフォトジャーナリストになった理由から。

高校2年生、カンボジアに行った時のこと、トラフィックドチルドレン(人身売買の被害にあった子供達)と時間を過ごしたという菜津紀さん。

「<指差し単語帳>を使って、どんな男の子がタイプなの?付き合ってる子はいるの?と年頃の女の子同士の会話で盛り上がる中、その話をし始めると輪から離れていった子がいました」

その女の子は人身売買の末に売春宿で働かされていたと後で知ったそうです。

「その時の自分に<人身売買された女の子に起こりやすい事>についての知識があれば、何もできなくても寄り添う事ができたはず。無知は知らず知らずのうちに誰かを傷つけると知った出来事だった」と振り返ります。

そして「高校生の私はそのまま知ろうとせずに楽しい人生を送ることもできた。でも、知って寄り添うことで、もっと豊かな人生を送れるのではないかと考えそちらを選んだ」と伝える仕事につくようになった原点を話してくれました。

 

シャッターをきるときに願うこと

最新の取材報告は「ガーナ」からです。

児童労働から解放されて、小学校5年生から学校に行き始めたという女の子の話。

会場にはちょうど同い年の参加者がいました。

「今、学校で何を習っている?」と問いかける菜津紀さん。

学校に行かせてもらえず、ずっとカカオ畑で働かされていた女の子が突然学校に行くようになった時の困難さがよくわかりました。

そして、シリア、イラク。

「モスルが解放されてよかったねじゃない、ここから始まるということを忘れないでいたい」と話します。

シリアの写真からは凄惨な状況も伝わってきます。

そんな場面でシャッターを切るときに願う事があるそうです。

「ひとつは目の前のあなたがどうか救われるようにという願い。そして、これからあなたのように傷つく人が現れないように」と。

 

恩返しではなくて恩送り

最後は東日本大震災の被災地、陸前高田からです。

陸前高田に住む菜津紀さんのお義父さんが撮った津波の写真を見ながら、震災当時の話を聞きました。

行方不明になっていたお義母さんが見つかった時、手には愛犬2匹のお散歩ヒモが握りしめられていたとのこと。

「遺体安置所を歩いて回る経験をこれから誰にもしてほしくない」という言葉に胸が締めつけられました。

そんな震災から7年、ずっとお付き合いをしている仮説住宅のおばあちゃん、お母さんが孫、子どお達が着れなくなった衣類を集めて、難民キャンプに送ったときの話もしてくれました。

おばあちゃんたちは「世界中から助けてもらったからねと、これは恩返じゃなくて<恩送り>なんだよ」と話していたそうです。

 

私の軸を広げる

最後に菜津紀さんからメッセージです。

よく、「そんな遠い国の話って私たちに関係ある?」と言われます。

でも、私たちが安いチョコを求めることが、ガーナで学校に行けない女の子を生み出している。

そもそも、みんなが何かの当事者ではないでしょうか。

近くの痛みに鈍感であれば、遠くのことに思いを馳せられるはずがない。

遠くの痛みにも敏感でいられるよう、自分の軸を広げていきましょう。

目の前の現実をていねいに受け止め、優しい言葉と写真とともに伝えてくれる菜津紀さん。

会場からのアンケートにもありましたが、どうぞ、十分に「命」を大切にこれからもたくさんのことを教えてほしいです。

アンケートより

「私の軸を広げる…日常生活に活かしたい」

「恩送りの習わし、実践は心に響くものでした。心がけていきたです」

「今日の話は知らないことばかりでとても勉強になりました。とりあえず、チョコレートを買う時に意識してみよう」

「関係ないと思っていることが実は深く関わっている、改めて思いまいした」

はくのともえ