シンポジウム【東京弁護士会】 戦後70年企画 伝える 平和と憲法の意味2015.8.7 シンポジウムレポート
レポート
2015年8月27日(木) 14:28
東京弁護士会で行われたシンポジウム。
会場は満員、3人の基調講演に聞き入ってました。
平山正剛氏 (元弁護士連合会会長)
「自分は体験的な平和主義者だ」と語る平山氏。「9条をなんとしても守らなければいけない訳がある」と話しはじめました。
ふたりの兄は戦死。進路に迷っていたとき、母親が兄と違う道を薦めます。「学問でこの国に二度と戦争が起きないようにして」と繰り返し言われたそうです。それが、体験を語りながら、平和主義者として弁護士を続けてきた原点。
「これから先、少なくとも100年、9条だけは堅持したい、なぜなら近隣諸国の戦争被害者が生きているから。この平和憲法を守ることで、真の平和主義国家だと示せる」と話を締め括りました。
掘潤氏(ジャーナリスト)
戦争とプロパガンダ、日本とナチスドイツの比較を卒業論文のテーマにしたという掘氏。
戦後70年、開戦に至るまでの日常に注目して戦争体験者に話を聞く活動「みんなの戦争アーカイブ」について紹介しました。
証言者に共通しているのは、「政治の話を家庭、ましてや職場では、まったくしなかった」という部分。時代は第一次世界大戦、関東大震災からの復興のさ中、「国はそんなに悪いことはしないだろう、まあ難しい話はやめよう」という社会の空気。「毎日を生きるのが精いっぱいだった生活の間に戦争が入り込み、気がついたときには、空襲がはじまっていた」という証言だそうです。
10年後の日本より、明日の生活に必死、どこか今と通じるところがあると感じました。そこで、「市民社会にあえて言いたい」と堀氏。「無知無関心では権力につけこまれる。あなたがあなたらしくいられるために、これおかしくない?と思ったら、ちょっとでも考えてみませんか」と投げかけました。
小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)
「立憲主義って難しいことじゃないですよね」と憲法学者の小林氏。「要は憲法守れってこと」と続きます。「誇りをもって生きる、自分が自分らしくあること、それが人権そのもの、言論、表現の自由が保証された世界を守らなければならない」と安保法案の国会での動きについて危惧しました。
「明らかに9条に反すと、世論の力で反対に追い込む動きがあるが、できないかもしれない」と話しながら、次の展開を示しました。「もし法案が通っても、がっかりしない、あきらめないでほしい。これは、長丁場の戦い。だって、市民は政権を与えた責任を取らなければならない。つまり、次の選挙で政権交代を目指せばいい」。
そして、「政権が変わったなら、また閣議決定すればいい、戦争法案を廃止すればいい。選挙こそ人権を守る最大の武器」と話しました。